一般社団法人
諏訪市医師会
〒392-0027 長野県諏訪市湖岸通り5丁目12番5号
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感染性腸炎は、主に腸管にウイルスや細菌が感染し、嘔吐、下痢、発熱をひきおこす病気です。 冬季は、ノロウイルス等による感染性胃腸炎が主体ですが、春から初夏頃に増えていくのが細菌性の感染性腸炎です。その中でも、最近増加している感染症が、カンピロバクター・ジェジュニによるカンピロバクター腸炎です。
症状は、下痢、発熱、腹痛等他の感染性腸炎との違いはないのですが、症状が強い事、罹病期間が長い傾向があります。また、触診を行いますと右下腹部に圧痛点を認める傾向があります。(回腸末端が炎症の主座) 原因となる食品は、1番に鶏肉や鶏レバーの生食です。もしくは加熱不十分なバーベキュー焼き鳥、調理過程の不備によって鶏肉から二次汚染された食品です。牛肉の生食でも起こり得るのですが、鶏肉の1/10程度のため臨床上多くはありません。また、この菌の特徴が、潜伏期(体内に菌が入り、発症するまでの期間)が3~7日と長いことです。つまり、忘れた頃に発症するわけです。(当院でも毎年、50人程の感染者を確認しています。)
診断は便の培養検査等で診断します。治療法は、軽微な場合は、対症療法で、症状が重いときは、適切な抗生剤を使用することで治癒が早くなります。
さらに、問題になっているのは本菌がギランバレー症候群の原因ではないかと疑われていることです。ギランバレー症候群とは急激に発症する主として運動障害を起こす末梢神経疾患で、下肢の筋力低下による歩行困難、顔面の神経麻痺、それに重症例では呼吸筋も侵されて人工呼吸器が必要な場合も起こり得る病気です。本症候群の頻度はカンピロバクター患者1000名あたり1名程度と非常に低いものの、腸炎が完治してから10日程経過した後に発症するため、病院関係者は腸炎が完治した後の患者の動向にも注意を払う必要があるものと思われます。Y.K.
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